ゲーム「パズルデザイナー・ボックス」について
この記事は数学ゲーム Advent Calendar 2018の17日目の記事です。
2018年11月21日(水)パズルデザイナーというゲーム・シリーズを考案しました。ここでは、そのひとつ「パズルデザイナー・ボックス」のルール説明を行い、その上で、パズルデザイナー・シリーズって何なのか、簡単に補足を行います。
1 パズルデザイナー・ボックス
同じサイズの正方形をいくつか持ってきて、長方形に並べます。ここでは12個の正方形を3×4の長方形に並べてみることにします。プレイヤーのできる操作は「(1)えらんで、(2)くっつけて、(3)ならべかえ」です。実際やってみると、こんな感じになります。
ならべかえると、ターン終了で、後手に手番が渡ります。
こんな風にして先手、後手、先手、後手と交互にやっていきます。
隣り合うピースはどのふたつを選んでも構いません。でも
この「ならべかえ」のところ。よく見ると、ぐるっと盤面を回転させただけで、くっつけたときのならべかたと一緒です。これではならべかえたことになりません。ターン終了ならず。
こうすると大丈夫ですね。どうなると勝負がつくのか言っていませんでしたが、じつはこのゲーム「ならべかえられなくなると負け」なのです。盤面全体を回転させたり裏返したりしてできるならべかたは、いつでもできてしまうので「パズルデザイナー・ボックス」では、ならべかえたとみなさないことにしています。
さて、少し途中をスキップして、最終局面を見てみましょう。
ここをくっつけてしまうと、もうならべかえできませんね。このゲーム、先手の負けになってしまいました。くっつける場所を上手くえらべば、先手が勝てたかもしれないんですけど、惜しかったです。
2 パズルデザイナー・シリーズについて
さて。さきほどの「パズルデザイナー・ボックス」ですが、どの辺りが「パズルデザイナー」だったのでしょうか。
最後にできたこのピースセット。3×4の長方形に詰める箱詰めパズルを考えると、答えがひとつしかないことが分かります(パズル業界的にはユニーク解といいます)。なんということでしょう。ゲームを遊んでいると、勝手にユニーク解のパズル問題ができてしまった訳です!
パズルデザイナー・シリーズは、こんなふうに遊んでいると勝手にパズルができてしまうゲームのことを言います。
あとで知ったのですが、ペンシルパズルについては、先駆者がいて「闇のパズルゲーム」と呼ばれていたりするようです。
あるいは、こちらの記事
の「解収束型表出ゲーム」もそれと同じものですね。パズルデザイナー・ボックスについては「ペンシルパズルでないこと」と「解析ソフトが必要ないこと」が、ちょっとだけ違っているかもしれません。
パズルデザイナーは、パズルからゲームを作ることができますが、一方、ゲームの詰め問題(詰将棋とか)はゲームからパズルを作ることができます。ということは、パズルがひとつあれば、パズル→ゲーム→パズル→ゲーム→パズル→ゲーム……という感じで、無限にゲームとパズルを生み出せるかもしれません。
もしかすると、途中で本質的にはおなじパズルとかゲームが生まれるかもしれないのですが、はたして。どうなるのか考えてみると面白いかもしれません。
さて数学ゲーム Advent Calendar 2018。18日目はcorollary2525さんで
です。どうぞお楽しみください!