みずすましの思い付きゲームノート

三好潤一さんが思いついたゲームのアイデアを記録します。

ゲーム「シャドー・クローン(仮)」について

この記事は数学ゲーム Advent Calendar 2018の24日目の記事です。


2018年12月14日(金)に思いついたゲームについて書きます。テーマは影分身の術です。どんなゲームか、まずはルールを説明します。

1 シャドー・クローン(仮)

2人対戦のゲームで六角盤を使います。自分のターンでは、自分の色の石(=ランプ)を隣り合うマス目に動かすことができます。最初は白と黒、ひとつずつしかランプがありません。

 

さて。黒いランプが動いて白いランプの隣に行くと、

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白いランプに照らされて、黒いランプの黒い影(黒石)ができます。これで黒のターン終了です。次は白のターン。白いランプが動いて黒いランプの隣に行くと、

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なんと黒いランプに照らされて、白いランプの白い影(白石)ができました! いやはや、不思議なこともあるものですね。

 

不思議なことは、まだあります。この世界でできた影は、本体と同じように動くことができるのです。こんな調子で、だんだんと石が増えていきます。

 

もうひとつ石の増え方で注意しておくことがあります。分身の連鎖が起こるのです。

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3つの白いランプに照らされて3方向に黒い影ができたあと、できた黒い影が白いランプに照らされて、さらに黒い影ができています。このターン。黒いランプは一気に5個増えることができました。

と、まあ、こんな風に分身を繰り返して、

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これ以上は、黒いランプを動かしても、白いランプを動かしても影ができなくなりました。説明が遅くなりましたが、影のできないマス目に移動するのは禁止されています。こうなった時点で、白と黒、ランプの多い方の勝ち(今回は黒の勝ち)。......と、いうふうに決着します。

 

 

2 シャドー・クローン(仮)のバリエーション
やってみると分かるのですが、あまり白と黒とが混ざり合いません。自分が増えるのに相手の力が必要なので、もう少し混ざった方が面白いのではないかという気もします。改良案としては、

(1)ランプが移動できるマス目を2つ隣まで許す(1~2歩、移動できる)

(2)方眼の盤で8方向に移動できるようにする(影の判定も8方向にする)。

などが考えられます。テストプレイをあまりできていないのですが、これから試行錯誤して、ちょうどいいルールを探して行きたいと思います。

 

3 思いついた経緯とか、これからの発展とか

数学ゲーム Advent Calendar 2018を始めたことで知り合った、玉鼎姐さんの考案された集団陣形棋というゲームがあります。石の並び方で動き方が変わって、しかも複数の石が一斉に動くというゲームです。このゲームのデモプレイのgifアニメを見ていたとき、ふと、コンウェイライフゲームのことを思い出しました。

 

石の並び方で、石が生まれたり消えたりするゲームってできないだろうか。

 

最初は集団陣形棋の延長で考えたので、自分の石の並び方から石の生成消滅のルールを考えようとしたのですが、ややこしそうなので諦め、相手の石との関係を考えました。その一番シンプルな形が今回のシャドー・クローン(仮)だった、という訳です。ええと、名前に(仮)が付いているのは、妻から気取りすぎではないか。と指摘があったからなのですが、いまのところ、これよりよい名前を思いつけずにいます。

 

「石の並び方で、石が生まれたり消えたりするゲーム」については、もっと色々な可能性がありそうです。今回は自分が照らされると自分の石ができましたが、自分が照らすと自分の石ができるみたいなゲームもできるかもしれません。あるいは、照らすと相手の後ろにある相手の石が消えるとか、照らし照らされる関係だけでも相当遊べそうな気がします。まして照らし照らされる以外の関係を考えると、もう大変。考えすぎて、夜更かししないように。どうぞご注意ください。

 

さてさて。ほんの思い付きで始めてしまった「数学ゲーム Advent Calendar 2018」ですが、お蔭様で(本当にお蔭様で)、なんとか今日まで繋いでくることができました。いよいよ明日が最終日。今日までの記事を振り返ります!

ゲーム「パズルデザイナー・ボックス」について

この記事は数学ゲーム Advent Calendar 2018の17日目の記事です。

 

2018年11月21日(水)パズルデザイナーというゲーム・シリーズを考案しました。ここでは、そのひとつ「パズルデザイナー・ボックス」のルール説明を行い、その上で、パズルデザイナー・シリーズって何なのか、簡単に補足を行います。

 

1 パズルデザイナー・ボックス

同じサイズの正方形をいくつか持ってきて、長方形に並べます。ここでは12個の正方形を3×4の長方形に並べてみることにします。プレイヤーのできる操作は「(1)えらんで、(2)くっつけて、(3)ならべかえ」です。実際やってみると、こんな感じになります。

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ならべかえると、ターン終了で、後手に手番が渡ります。

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こんな風にして先手、後手、先手、後手と交互にやっていきます。

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隣り合うピースはどのふたつを選んでも構いません。でも

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この「ならべかえ」のところ。よく見ると、ぐるっと盤面を回転させただけで、くっつけたときのならべかたと一緒です。これではならべかえたことになりません。ターン終了ならず。

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こうすると大丈夫ですね。どうなると勝負がつくのか言っていませんでしたが、じつはこのゲーム「ならべかえられなくなると負け」なのです。盤面全体を回転させたり裏返したりしてできるならべかたは、いつでもできてしまうので「パズルデザイナー・ボックス」では、ならべかえたとみなさないことにしています。

 

さて、少し途中をスキップして、最終局面を見てみましょう。

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ここをくっつけてしまうと、もうならべかえできませんね。このゲーム、先手の負けになってしまいました。くっつける場所を上手くえらべば、先手が勝てたかもしれないんですけど、惜しかったです。

 

2 パズルデザイナー・シリーズについて

さて。さきほどの「パズルデザイナー・ボックス」ですが、どの辺りが「パズルデザイナー」だったのでしょうか。

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最後にできたこのピースセット。3×4の長方形に詰める箱詰めパズルを考えると、答えがひとつしかないことが分かります(パズル業界的にはユニーク解といいます)。なんということでしょう。ゲームを遊んでいると、勝手にユニーク解のパズル問題ができてしまった訳です!

 

パズルデザイナー・シリーズは、こんなふうに遊んでいると勝手にパズルができてしまうゲームのことを言います。

 

あとで知ったのですが、ペンシルパズルについては、先駆者がいて「闇のパズルゲーム」と呼ばれていたりするようです。

闇のパズルゲームのすすめ - しもりんのブログ

あるいは、こちらの記事

ゴドマチ周辺ゲーム - pzdc

の「解収束型表出ゲーム」もそれと同じものですね。パズルデザイナー・ボックスについては「ペンシルパズルでないこと」と「解析ソフトが必要ないこと」が、ちょっとだけ違っているかもしれません。

 

パズルデザイナーは、パズルからゲームを作ることができますが、一方、ゲームの詰め問題(詰将棋とか)はゲームからパズルを作ることができます。ということは、パズルがひとつあれば、パズル→ゲーム→パズル→ゲーム→パズル→ゲーム……という感じで、無限にゲームとパズルを生み出せるかもしれません。

 

もしかすると、途中で本質的にはおなじパズルとかゲームが生まれるかもしれないのですが、はたして。どうなるのか考えてみると面白いかもしれません。

 

さて数学ゲーム Advent Calendar 2018。18日目はcorollary2525さんで

行列式ビンゴをやろう! - Corollaryは必然に。

です。どうぞお楽しみください!

ごあいさつ

はじめましての方、はじめまして。三好潤一と申します。パズル懇話会で幹事をしています。私事ながら、今年2018年は数学ゲームに明け暮れた1年でした。

 

この記事は 数学ゲーム Advent Calendar 2018 - Adventar 1日目の記事です。

 

生まれて初めてゲームを考案するという経験をしたのが今年の1月19日(金)。41歳になる直前のことでした。まさか自分がゲームを考案するなんて、と思っているうちに生まれて2番目のゲームを3月25日(日)に考案。そこで生まれたふたつのゲーム、ゴドマチ陣目取(じんめとり)は、それぞれたくさんの人に遊んでもらい好評を博すことができました。

 

自分の考案したゲームを誰かが楽しんでいる。これは面白い。自分にも何かできるのかもしれない……と調子乗って、ゲームの考案に熱中。玉石混交ですが4月から現在までの8か月ほどの間にゲームのネタを50個ほど思いつくことになりました。もっとみんな気軽にゲームを思いついてもいいのになあと思うようになりました。

 

それと、これまでゲームといえばRPGばかり遊んでいて、ボードゲームとかアブストラクトゲームとかむしろ苦手意識があって、ほとんど遊んだことがなかったのですが、世の中には面白い数学ゲームがたくさんあると知ることができたのも今年のことでした。もっとみんなに知ってもらいたいなあと感じるようになりました。

 

という訳で、僭越ながら「数学ゲーム Advent Calendar 2018」を立てさせて頂きました。まだ登録されていない日付がちらほらありますが、なんとか完走できるといいなと思っています。みなさまご協力のほど、よろしくお願いたします。

 

さて、カレンダー最初の記事。これで終わってしまうと寂しいので、今年思いついた50個のネタ。未整理のもの、未完成のものがほとんどですが、ひとまずメモしておこうと思います。こんな感じです。

 

ゴドマチ、陣目取、線対称ダブレット、ぷよよぷ、線対称ババ抜き、線対称しりとり(しりめとり)、ブロック・オークション、ポリフォーム・ポーカー、子沢山ポリオミノ、ご先祖沢山ポリオミノ、ORIGAMIレイヤー、ダガーボックス、ポリオミノ・スピード、四色問題ゲーム、視力検査、バキューム・スクエア、ドッツアンドテトロミノ、Nクイーンゲーム、ナイトツアーゲーム、碁石拾いゲーム、ブロックパズルゲーム、ハミルトンサイクルゲーム、巡回セールスマンゲーム、贋金と天秤ゲーム、五角形ニム、シンプルループ・ニム、素数ニム、タイルホモロジー群ゲーム、正方形衰弱、アパルトヘイト、Forget me not、うそつきやじるし、ベルトコンベア、桂馬だらけ、三手囲碁、整数解ゲーム、無理数ゲーム(無理ゲー)、釣銭ゲーム、レジ打ちゲーム、フラクタルゲーム、ライフゲームゲーム、ガウスゴルフ、賽の目将棋、ぴょんぴょんじゃんけん、パズルデザイナー・ボックス、パズルデザイナー・ノットカラーマッチ、パズルデザイナー・メイズ、パズルデザイナー・X、パズルデザイナー・XX、ずけろん、サーチライトゲーム、歯車ゲーム(順不同)

 

どんなゲームか想像してみて下さい。これから徐々に整理して行きたいなあと思っています。

 

あと、自分が今年いろいろと思いつくことができたのは、数学デーの仲間や、話を聞いてくれたみなさんのおかげだなと感じています。今後「オリジナルゲームのアイデアを持ち寄って、わいわい議論する場所」をFacebook上とかに作ろうかなと思っています。興味のある方はツイッターの盛田みずすまし @nosiika までお知らせください。よろしくお願いいたします。

 

明日は、はかせ @hakase_kk による『古典ゲーム「ヘックス」への招待』です。楽しみです!

まずはゴドマチと陣目取から

ゴドマチ(合同を待ちながら)は2018年1月19日(金)に考案したゲームです。ちょっと石取ゲーム(ニム)に似ています。図形の合同が鍵になった対戦パズルゲームです。

j344.exblog.jp

 

陣目取(じんめとり)は2018年3月25日(日)に考案したゲームです。白黒の石を交互に盤に置いていきます。図形の対称性(シンメトリー)が鍵になった陣取りゲームです。

j344.exblog.jp

 

どちらも方眼紙とペンがあれば手軽に遊べるゲームで、色々な数学イベントで好評を頂いています。それぞれの反響については、こちらをご覧ください。

togetter.com

togetter.com

 

ゴドマチについては仲間が集まってWEBアプリを開発。2018年8月1日(水)にリリースすることができました。
godomachi.net

 

その反響については、こちらをご覧ください。
togetter.com

 

2018年8月28日(火)発売の雑誌『数学文化 第30号』 に「数学ゲームを作ろう!」というエッセイを寄稿しました。ここではゴドマチと陣目取の考案経緯について紹介しています。

また、2018年10月7日(日)にはロマンティック数学ナイトというイベントで「数学ゲームを作ろう!」という発表を行いました。スライドはここに公開しています。

www.slideshare.net

 

最初に思いついた、ふたつのゲームがとても出来がよくて、みんなに愛されるまでに育ちました。今後もまだまだ広めて行きたいですし、広まるものと思っています。作者がいうのもなんですが面白いです。まだ遊んだことのない方は、ぜひ遊んでみて下さい。

ゲームノートはじめました

2018年1月、生まれて初めてゲームを考案しました。なぜだか、そこから色々ゲームを思いつくようになってしまいました。数が増えてきたので、このブログを作りました。記録して、徐々に整理して行きたいと思います。

 

個々のゲームがゲームとして面白いかどうかはあまり気にしていません。未完成のアイデア段階でも、積極的に公開して行きます。ゲームを考案するということそれ自体が楽しいので、みんながゲームを気軽に考案したりするようになると嬉しいです。ルールをこうするともっと面白くなるかもなんて議論も歓迎です。

 

私の思いつくゲームはパズルっぽいゲームが多いです。ゲームの種類としてはアブストラクトゲームに分類されるのだと思います。基本的には自分の思いついたゲームを紹介していく予定ですが、ときには知人の考案したゲームとかも紹介するかもしれません。

 

とりあえず、初回の投稿はこんなところで。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

三好潤一